電化製品等の使用感を書く。
書籍名:『モサド前長官の証言「暗闇に身をおいて」』
著者:エフライム・ハレヴィ(Efraim Halevy)
翻訳者:河野純治
2007年(平成19年)11月30日 初版1刷
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いろいろと勉強になる本だった。本書の大部分は回顧録風に書かれているが、まとめに当たる17章18章では今後の展望(発行時点の)を論じている。この2章が面白かった。
以下、17章18章の内容を適当に意訳しながら抄出。
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イスラムを「敵」に設定
ロンドン同時爆破テロの実行犯はイギリスで育った移民2世だった。これは外来の活動家による従来のイスラム・テロとは異なる。
イギリスにおいて、イスラム系コミュニティー出身の者が危険思想を持ち犯罪に走るに至った原因は宗教なので、実行したのが一部の者であっても、イスラム系コミュニティー全体を諜報活動の対象にするべきである。イギリス以外の欧州各国もそうすべき。
テロ対策立法(国内・国外)
欧州には共通のテロ対策法が存在しない。各国でさらに大規模なテロが発生し、テロ対策法の必要性が痛感されるまでは、そうした法律は作ることができないだろう。
テロリストを匿っている国家が存在する場合、その国の主権は無視してよく、国際的な合意なしに同国を先制攻撃してよい、という時代が来なければならない。
2007年までに、イスラム・テロの目的が「パレスチナ奪還」から「不信心な国家の政権打倒」に変わり、標的はイスラエルから自由主義諸国全てに拡大した。
テロリストの目標達成を阻止するという防御型の発想では不十分であり、イスラム系テロ組織の殲滅を目指すべきである。
長期戦覚悟のテロリストと対決するには、時の世論・選挙などに依存しない立法手法が必要であるところ、テロ対策の「厳格な」法律が国会を通過し得るのは、テロ直後から2〜3ヶ月以内に限られるという事実が観察される。
各国の軍・治安当局は常時出動可能でなければならない。特定のテロ攻撃と無関係な組織でいいから、とにかく標的を国外でも国内でも適当に想定しておくべきである。自由主義諸国の戦いの場は地球全体である。
自由主義諸国のどこかでテロ攻撃があれば、攻撃を受けた国も受けてない国も報復に打って出なければならない。その際には、テロリストが避難していると考えられる国の主権は無視する。
すべての国がテロ対策の準備を完了するのに、時間制限を設けるべきであり、動きの遅い国には国際的な圧力をかけるべきである。
各国が一斉にテロ撲滅宣言を発表し、自由主義諸国は攻撃態勢に移り、テロリストのいる国に総攻撃を仕掛ける。
イスラム系テロ組織のパートナー
ヒズボラやハマスのような「土着型」「地域支配型」「行政組織型」イスラム系組織とは連携することができるかもしれない。守るべきものを持つ組織には脅しが効くから。この2者は、あくまで例である。
イスラエルの利益
米英は中東に深く関わっており、適切な出口戦略を成功させるにはイスラエルの助力が不可欠なので、欧州も含めて、イスラエルの利益と展望に良く配慮しなければならない。
自由主義諸国と組む土着型(地域支配型)イスラム系組織は、世界各地の支部を解散しなければならず、且つ、イスラエルを承認しなければならない。
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本書のおかげで、イスラム国・ISISの姿が何となく想像できるようになった。
本書の願望とは異なり、ISISに対して中東の外にネットワークを持たせると、全世界のイスラム敵視が加速して・・・?