電化製品等の使用感を書く。
小松正之氏の「築地から豊洲へ 世界最大市場の歴史と将来」を読んだ。以下はそのときのメモ。
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監修者:伊藤裕康
著者:小松正之
出版社:株式会社マガジンランド
平成30年11月21日第1刷
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築地の歴史、卸売市場の仕組み、豊洲市場の長所短所、日本の水産業の問題などが書かれていて、面白かった。
海外の類似の市場がどうなっているのか、詳しく書いてあった。海外の市場は資源の管理やインターネット入札などで日本より進んでいるようだ。インターネット入札は、商品に関する画像情報、数値情報、文字情報等を整備しないと実現できないらしい。
テレビ・新聞の伝えない情報がたくさん載っており、読み応えがあった。
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5頁、「小松さんから、日本橋時代から築地を経て豊洲に移転するまでの市場の歴史、および市場流通と卸売市場の在り方についての包括的な本を出したい、ついてはこの本の監修を引き受けてほしいという依頼があったのは、二〇一六年の春でした。」
★改正市場法の成立
5頁、平成30年6月、「卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案」(改正市場法案)が国会で成立し、卸売市場の開設が、国や自治体による「認可制」から、高い公共性を有する市場であると行政が認めれば民間でも参入可能な「認定制」へ移行する。
5頁、「今回の法改正は、安倍政権の規制改革推進会議での「卸売市場は時代遅れ、市場法という特別の法に基づく規制は撤廃すべき」という意見からスタートしています。」
5頁、6頁、「しかし、認可制を廃止して認定制にするという方針は、二〇一七年一一月に農林水産省から突如示されたもので、与党内では十分な議論がなされないまま、法案は可決されました。」
★問い
24頁、25頁、市場外流通が伸びてきている昨今、公設の卸売市場である築地市場、及び築地の延長上にある豊洲市場は必要なのか。
★著者による纏め。
25頁、「本書は、日本橋に始まる築地市場のルーツから、八十有余年にわたる築地の諸相、そして豊洲市場への道のりと今後の展開を時間軸に沿って述べていくとともに、私の専門分野である漁業・水産業と海洋生態系を入れた大局的視点と今後の在り方にも言及する。また、これまでの類書にはなかった中央卸売市場の構成と機能、市場を支える財政、市場外流通、海外市場の情況に加えて、中央卸売市場の将来展望まで言及しており、この一冊で豊洲市場のみならず中央卸売市場について幅広く理解が可能な構成となっている。さらには、築地市場の卸売会社全一〇社をはじめ、仲卸業者、売買参加者、関連業者の方々の生の声もお届けすることで血の通った読み物になったと思う。」
☆実際、25頁に書かれている通りの本だった。
54頁、55頁、原爆実験による風評被害について。
★大規模漁業の排除
198頁、「〜。また、戦後の漁業法の改正では、明治時代の漁業法の根本を維持したままで民主化の考えが導入され、小規模漁業者が大規模な漁業を排除し、そして小規模な漁民間の平等と公平を達成することを目的としている。それでは悪化した資源と衰退した漁業の回復と再生は到底おぼつかない。」
★水産庁の予算は、土木事業中心の公共事業のものが多い
200頁、「その他の提言では予算の組み方にも言及している。水産庁の予算は漁港の建設などいまだに土木事業中心の公共事業に偏重している。これは漁船も漁業者も減少しているのに不必要なものが多い。また、全国各地の漁港や東日本大震災の被災地では防災を大義名分として、日々の生活と自然の機能(酸素、水、および食料の供給)を忘れ、大きな堤防を建設した。これらは水産業・漁業にとっても重要な沿岸域の生物、稚魚と海藻の育成の現場を破壊し喪失させたのである。このような公共事業の偏重から、科学調査の実施に必要な予算や国民への情報提供ならびに教育に必要な予算に組み替えるべきである。」