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娘娘電機

電化製品等の使用感を書く。

【読書メモ】君たちはどう生きるか

書籍名:「君たちはどう生きるか」
著者名:吉野源三郎
出版社:岩波書店
1982年11月16日第1刷
2010年9月15日第63刷

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6頁「 成績が一番か二番というのに、コペル君は、いまだかつて級長になったことがありません。それは、みんなの人望がないからというよりも、少々コペル君のいたずらが過ぎるからです。」

 コペル君は、学級内のいじめを見ても何もしない。友人が上級生に殴られている時も、隠れてやり過ごす。友人との約束を破ってしまったことについて素直に謝ることができない。「人望がある」という設定は何なのか。

16頁、世の中を海や河に例えれば、一人一人の人間は水分子みたいなもの。

23〜28頁、コペルニクスは偉い人。損得の係わる事柄で、自分を離れて正しく判断できる人は偉い人。

★視座の転換。認識の客観化。
★自分の利益、自分の視点を捨てることが偉いこと。

おじさんの仕事は?
7頁「 郊外に越してからは、近所に住んでいる叔父さんが、ちょくちょくたずねて来ます。その叔父さんは、お母さんの本当の弟で、大学を出てからまだ間もない法学士です。」
 土日祝日、平日の夜には、叔父さんは暇そう。

30〜32頁、科学的知識の蓄積すなわち人類の進歩?

32〜49頁、油揚事件。現実味がない。いじめを見かねて、いじめっ子に殴り掛かった北見君。その北見君をいじめられていた浦川君が止めにかかる。浦川君にそのような行動力があれば、最初からいじめられることはなかっただろう。

49〜58頁、叔父さんの説教ノート。世の中には「立派な人」と「立派でない人」がいる。常に自分の体験から出発して正直に考えてゆけ。

83〜98頁、「人間分子の関係、網目の法則」と「生産関係」。

93頁「 君が大きくなると、一通りは必ず勉強しなければならない学問に、経済学と社会学がある。こういう学問は、人間がこんな関係をつくって生きているということから出発して、いろいろ研究してゆく学問だ。例えば、時代と共に、この関係がどんなに変わって来たかとか、この関係の上にどんな風俗や習慣が生まれて来たかとか、また、現在それがどんな法則で動いているか、などということを研究している。」

★生産関係の上に風俗や習慣が生み出され、その逆ではない、という発想。

94頁、95頁、「人類初」の発見でなければ、偉大な発見とはいえない。何がどこまで発見されているのか、まずは勉強しなければならない。

96〜98頁、「人間らしい人間関係」・・・現在の生産関係(人間分子の関係)は人間らしい人間関係ではない。

★人間らしく生きられる生産関係を築くには、全員が無報酬で働くようにならなければいけない。

97頁、98頁「 ——君のお母さんは、君の為に何かをしても、その報酬を欲しがりはしないね。君のためにつくしているということが、そのままお母さんの喜びだ。君にしても、仲のいい友だちに何かしてあげられれば、それだけで、もう十分うれしいじゃないか。人間が人間同志、お互いに、好意をつくし、それを喜びとしているほど美しいことは、ほかにありはしない。そして、それが本当に人間らしい人間関係だと、——コペル君、君はそう思わないかしら。」

★生産関係としての「人間関係」を語っている箇所だが、所有云々は語られない。分業関係。

127〜142頁、人間であるからには —貧乏ということについて—(叔父さんの説教ノート)
 軽蔑に値する人間、馬鹿な奴、下等な人間、心ある人から冷笑される人間、憐れむべき馬鹿者が存在する。人間としての値打ちが高い者も低い者もいる。但し、貧乏であることは、そうした値打ちの評価には関係ない。
 人類が進歩すると、貧困は消滅する。
 消費者より生産者の方が偉い。お金持ちのエリート中学生は消費専門家なのだから、その分際を守らなければならない。(叔父さんの職業は最後まで明かされない。無職?)

★叔父さんの説教ノートには、3回「人間であるからには」が登場する。

130頁「僕たちも、人間であるからには、たとえ貧しくともそのために自分をつまらない人間と考えたりしないように、——また、たとえ豊かな暮しをしたからといって、それで自分を何か偉いもののように考えたりしないように、いつでも、自分の人間としての値打にしっかりと目をつけて生きてゆかなければいけない。」

135頁「人間であるからには、すべての人が人間らしく生きてゆけなくては嘘だ。」

141、142頁「君は、毎日の生活に必要な品物ということから考えると、たしかに消費ばかりしていて、なに一つ生産していない。しかし、自分では気がつかないうちに、ほかの点で、ある大きなものを、日々生み出しているのだ。それは、いったい、なんだろう。(中略)。しかし、お互いに人間であるからには、誰でも、一生のうちに必ずこの答を見つけなくてはならないと、僕は考えている。」

★答えを見つけられない人間は、人間ではないのか。

143〜195頁、英雄的精神。実行力と活動力は重要だが、何を成したのかが最も大切。人類の進歩の方向は完全に決まっているので、それに役立つ行動を成さなければならない。人類の進歩のために成される戦争は綺麗な戦争。ナポレオンは偉大。

249〜253頁、
(1)人間は、本来のあり方と違う状態に置かれた時に苦痛を感じるものである。
(2)自分勝手な欲望、つまらない虚栄心を捨てられないことによって苦痛を感じている場合もある。

★「人間同志調和して生きてゆく」ことや「誰だって自分の才能をのばし、その才能に応じて働いてゆける」ことが、叔父さんの自分勝手な理想・欲望ではなく、人間の本来のあり方であると言えるのは何故か。如何にして(1)場合と(2)の場合を区別するのか。

288〜290頁、アレキサンダー大王の侵攻。文化を伝える戦争は良い戦争。

293頁、叔父さんの台詞
「 そして、世界歴史からいえば、まだ子供みたいなものだったけれど、日本人は、すぐれたものはすぐれたものとして感心し、ちゃんとその値打がわかるだけの心をもっていたんだね。遠い異国の文物でも、すぐれたものには心から感心して、それを取り入れ、日本の文明をぐんぐんと高めていった。そうして、日本人も、人類の進歩の歴史を、日本人らしく進めていったんだ……」

★人類の歴史は世界中どこでも同じように進むので、その進度によって、大人の国と子供の国が生じる。

297、298頁、コペルのノート。
297頁「 僕、ほんとうにいい人間にならなければいけないと思いはじめました。叔父さんのいうように、僕は、消費専門家で、なに一つ生産していません。浦川君なんかとちがって、僕には、いま何か生産しようと思っても、なんにも出来ません。しかし、僕は、いい人間になることは出来ます。自分がいい人間になって、いい人間を一人この世の中に生み出すことは、僕にでも出来るのです。そして、そのつもりにさえなれば、これ以上のものを生みだせる人間にだって、なれると思います。」
298頁「 僕は、すべての人がおたがいによい友だちであるような、そういう世の中が来なければいけないと思います。人類は今まで進歩して来たのですから、きっと今にそういう世の中に行きつくだろうと思います。そして僕は、それに役立つような人間になりたいと思います。」

★遅かれ早かれ「…そういう世の中に『行きつく』…」のであれば、わざわざ役に立つような何かをする必要もないのでは?

★97、98頁を参考にすると、「すべての人がおたがいによい友だちであるような…世の中」とは、全ての人が見返りなしに働く社会のことだろうか。

307〜339頁、丸山眞男の「『君たちはどう生きるか』をめぐる回想」

310、311頁、マルクス主義。
「けれども、吉野さんの思想と人格が凝縮されている、この一九三〇年代末の書物に展開されているのは、人生いかに生くべきか、という倫理だけではなくて、社会科学的認識とは何かという問題であり、むしろそうした社会認識の問題ときりはなせないかたちで、人間のモラルが問われている点に、そのユニークさがあるように思われます。」

★ある種の世界観を受け入れ、それが示す方向に沿って行動していなければ、軽蔑に値する人間、馬鹿な奴、下等な人間、心ある人から冷笑される人間、もしくは憐れむべき馬鹿者である。

本書の「客観化」。
317頁「地動説への転換は、もうすんでしまって当り前になった事実ではなくて、私達ひとりひとりが、不断にこれから努力して行かねばならないきわめて困難な課題なのです。そうでなかったら、どうして自分や、自分が同一化している集団や「くに」を中心に世の中がまわっているような認識から、文明国民でさえ今日も容易に脱却できないでいるのでしょうか。」

324、325頁、「修身」の「社会科」への統合の意味。

★生産関係が社会の全てを決める。生産関係の進歩の方向は決まっている。その進歩に役立つ人間が良い人間。「社会科」と「倫理」の一体化。

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