書籍名:「ぼくは勉強ができない」
著者名:山田詠美
出版社:新潮社
1993年3月25日発行、1994年3月30日17刷
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つまらない小説だった。
- 顔のイイ男は良い人間、クラスで人気の女子は悪い人間。作者は女。
- 現実には耳にしないような「無駄に」小難しい会話文。
- 他人を貶すことに精一杯の主人公。余裕がない。
- 優等生は他のすべてのものを犠牲にして毎日ガリガリ勉強してるに違いない、という劣等生にありがちな妄想。
- 優等生は既成の価値観に囚われた存在に違いない、という偏見。
- 主人公はモテる高校生という設定だが、小説中ではモテてる気配がない。
- 相手は間違ってる、周りが間違っている、世間が間違ってる、でも自分は絶対正しい、自分の意見を肯定してくれる人としか付き合わない、という主人公。弱く、小さい。
- 世間の常識と同じ意見を持つことはカッコ悪いことである、という決めつけ。
- 小説の仮面を被った著者の演説。
- 恋愛至上主義は善、学歴主義は悪。
- 勉強する気がないのに世間の常識に流されて高校へ進学してしまう主人公。いつでも自由に退学できるのに退学せず、校則がおかしい、教師がおかしい、世間の常識がおかしいと愚痴り続ける。
- 学校の成績が良い人は思考停止しているに違いない、成績の悪い生徒は自分の頭で考えているに違いない、という凍った思考。
- 恋人に浮気されてしまう主人公。一応、モテる設定である。
- 幼馴染にはヤラせてもらえない。
- 勧善懲悪。頭が良い正義の主人公陣営、頭が悪い悪の教師・優等生陣営。
- 高校生男子は年上の女と付き合うべき。年下の女と付き合う男はダサい。著者山田詠美氏は本書の元となった連載が始まった時(1991年5月)、32歳。
- 山田詠美的道徳の押し付け。
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勉強するな、恋愛しろ、という小説。
自分の頭で考えてばかりいて、先人に学ばない態度。
あとがきを読むと、主人公は著者そのもののようだ。この主人公(秀美)を使って、過去に自分を認めてくれなかった人々へ復讐したかったのだろう。えいみ、詠美、英美、ひでみ、秀美?
主人公はモテる人気者であるという設定は、著者が語らせる恨み節によって消えてしまった。
「ぼくは勉強ができない」は、つまらない本だった。